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2006年10月29日
Topアンティーク用語 > シェラックニス

●シェラックニス

アンティーク家具といえば、シェラックニスというほど昔から使われてきました。

シュラックはインド、タイなど南方のアジアに生息する「ラック虫の殻」から作られます。これらラック虫は樹木に寄生して樹液を吸います。 そして自身の体を包んだり、産卵のために木の枝に殻を作ります。このラック虫から分泌された、 樹液をたっぷり含んだ殻がシェラックの原料になります。これを精製してシュラックを作るのです。

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大きな長所が人体に対する影響が少ないということです。
食品、医薬品、化粧品にも使用されます。

食品では粒状チョコレートの表面をツルツルにしたり、柑橘類をツヤツヤに見せる保護皮膜材、 レモンやチーズに印字する際のインクにも使用されます。
また、
医薬品としては、酸に強くアルカリに弱いことから胃では溶けずに腸で溶ける錠剤に使われます。(腸溶性皮膜材)ニオイをよく遮断するので、 錠剤にコートして薬臭さをカバーするのにも使用されます。
そして、
化粧品としてはマニキュア、マスカラやヘアースプレーなどにも使用されるそうです。

これらの項目を見ても分る通り、誰もがいままでシェラックを食べたことがあるのです。それくらい安全なのです。

このシェラックの使い方はいたって簡単! アルコールに溶かして塗るだけです。溶剤がアルコールなので安全で臭いも気になりません。

詳しい使い方                  

シェラックは、「カット」という単位でその濃さを表します。
目安はシェラック12グラムに対し、アルコール100ccでだいたい1カットです。

通常は2カット程度が使いやすいです。
それよりも濃いと塗りムラが発生しやすく、重ね塗りをすると急速に塗膜が厚くなり均一にぬれ難くなります。また、 アルコールが揮発しやすいので、常時濃度の調整が必要なので、
↓な入れ物に入れておくと良いでしょう。
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また、アルコールはドラックストアーで手に入ります。「エタノール」と言う名称で売っていますが、その純度が高いものを「無水エタノール」 (1,300円程度)といいこちらを薦めます。ただ高価なので、「消毒用エタノール液」(750円程度)でも使えます。 (純度が高いほうが綺麗に塗れると言う人もいます。僕も「無水エタノール」を使っています。)
しかし、筆の汚れを落としたり、シェラックニスそのものを落とす為には、「消毒用エタノール」を使う事をしています。
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「布で塗り」による方法では、「水を打ったようなツヤ」をだすには向かないように思います。他の仕上げ(オイルやワックス) の下地と考えた方が良いかもしれません。僕が修理した「古時計」では、『フレンチポリッシュ』と言う手法によりシェラックを塗りました。

この「フレンチポリッシュ」は高度な方法ですが、惚れ惚れするくらい 深い艶がでます。
やり方は、またの機会にお話します。

 

話は変わりますが、
昔のテーブルなどの家具に、輪ジミなどがありませんでしたか? シェラックはアルコールに弱いので、 アルコールが入ったコップなどによりシミができ易いのです。また、熱にも強くありません。
(当たり前ですね、アルコールが溶剤なのですから!)
現代のポリウレタン系やアクリル系のニスには到底、性能ではかないません。
しかし、人体に優しく環境に優しいニスなのです。深みのある味わい深いその色合いは、アンティークともよくマッチしますし、 大切にしなくてはと言う気持ちにもさせてくれます。

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