●二つのコーヒー伝説
私たちが普段なにげなく飲んでいるコーヒーの起源についてお話します。
コーヒーの起源については数説ありますが、
エチオピア説とアラビア説の二つが、コーヒー発見の二大伝説と言われています。
それぞれの伝説を紹介しましょう。
イスラム教の僧侶 シェーク・
オマールの伝説
十三世紀の中ごろのシェーク・オマールという僧侶のお話です。
僧侶シェーク・オマールは巡礼の旅を続けていました。
イエメンの山中で空腹に耐えていたとき、赤い実をついばみながら小鳥たちが
騒いでいるのに気づきました。
彼はその実を食べ、さらに洞窟にたくさん持ち帰り 鍋で煮込んでみると、
すばらしい香りのスープが出来ました。
それを食べてみると、全身に精気がみなぎり、急に勇気が沸き元気になったのでした。
その後、シーク・オマールはこの赤いコーヒーの実を用いて多くの病人を救ったことで、
聖者として崇められました。
ALL ABOUT COFFEE By William H. UKERS,
M.A. Second Edition
Omar and The Marvelous Bird
ヤギ使いカルディの伝説
次にヤギ使いカルディと踊るヤギのお話を紹介します。
これは現在のエチオピアでのお話で、六世紀頃の事だと言われています。
ここ、エチオピア南部のアビシニア高原には、野生のコーヒーが長いこと
人目につかず自生していました。
若いヤギ使いカルディが、ある朝 放し飼いにしていたヤギたちが
手の付けられないくらい騒いでいるのに困って、近くの修道院の僧侶に相談
してみることにしました。
ヤギたちは、赤い実を食べて興奮したようだと僧侶に伝えると、
試しにこの赤い実を煮た汁を飲んでみることにしました。
すると、全身に活力がみなぎり、気分が爽快になったのです。
ALL ABOUT COFFEE By William H. UKERS,
M.A. Second Edition
Kaldi and His Dancing Goats
それ以来、僧侶たちが徹夜で行う行事の際に眠気覚ましとして、
この赤いコーヒーの実を煎じて飲むようになったのです。
おそらく、何千年も前から自生していたであろうコーヒーの木も
今と変わらず赤い実をつけ、鳥や動物たちがついばんでいたのでしょう。
この「世界を変える赤い魔法の実を見つけた」ことは人類の幸福の一つだと思えます。