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2007年12月24日
TopSpeciltyCoffee > コーヒーの抽出技術

●ポットについて(「おいしいコーヒー」を淹れるために)

いつか、『究極の一杯』の淹れ方 をお話したいと思っています。

以前、「KONO式ドリッパーの事おしえます。 」でドリッパーの事をお話ししました。
今回の「ポットについて」をお話しすることで、その準備が整います。^^

さて、

「おいしいコーヒー」を淹れるための重要な要素の1つとして、
お湯を注ぐ技術があると思います。
 

『コーヒーの粉にお湯を注いで、コーヒーは抽出されます。』

このお湯を注ぐ簡単な作業が、実はおいしさに大く影響します。

お湯を沸かすケトルやポットから、一気に注いだりしていませんか?

面倒くさがらずに、やさしくお湯を注いでみませんか。

『大切な人をもてなすコーヒー』が、ちょっとした気配りで見違えるほど美味しくなります。

下の画像を見てください。
お湯が出る先は細く、根元に行くほど太くなっています。
お湯を優しく注ぐには、この構造が重要です。 根元が太いので、十分に湯がたまり
一定の量を注ぎやすくなります。

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新品のカリタ 銅ポット0.7L 蝶番無しタイプ

非常に高級感があります。
見た目の美しさもさることながら、実用的にも最高です。また、使えば使うほどに
味が出てきて愛着がわきますよ。

下の画像は、先をつぶしたものです。
これは、注ぐお湯が「細く点滴のように」出やすくする工夫です。

意外に固いのでペンチでは潰れません。
力ずくでつぶすと左右均等にならないので、金属の台(定盤が在ったので使いました。)の上で、
慎重に金槌(カナヅチ)で丁寧にたたきました。^^

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加工した注ぎ口(細くゆっくり淹れられます。)

下の図は、新品と先を加工したものとの比較です。
新品のままでは、点滴のようにお湯を注ぐことは難しいと思います。
それでも他のポットよりは、格段にお湯を操ることが楽です。

ゆっくり、そっと優しく注ぐことが重要なのです。

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注ぎ口の比較(左:加工後 右:新品)

このポット 3年ほど使っていますが、本当にお気に入りです。
一生付き合えそうな気がしてます。

自在にお湯を操るには技術も必要ですが 道具も大変重要になります。
是非この カリタ 銅ポット 0.7L を手に入れて「おいしいコーヒー」を作って下さい。

ここで、お知らせ!

今回のみ 特別価格で右側のポット(新品の方)を販売します。(限定1個)
注意:先の加工はしていません。

カリタ 銅ポット 0.7L には、蓋と本体をつなぐ蝶番つきタイプと
蝶番なしタイプがあります。
中のお湯の量を見ながら注ぐので、蓋は外しておいた方が便利です。

こちらは、蓋が取り外せる蝶番無しタイプです。

商品紹介(コーヒーグッズ)
https://www.inoha.jp/cgi-bin/shop_cart/prg_cart/hws_s01list.cgi?category=cb601

次回取り扱うかは未定です。
(本音を言えば、仕入れ価格が高いので迷っています。^^;)


 

2007年12月16日
TopSpeciltyCoffee > コーヒーの抽出技術

●KONO式ドリッパーの事おしえます。

KONO(コーノ) 式 円すいコーヒーフィルター

プロが愛用するコーヒードリッパーの一つに、
KONO(コーノ)の円すいコーヒーフィルターがあります。

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左側が「名門」 右側が「名人」

  ドリッパーの種類                                 
このドリッパーには、 抽出する量により2人用(1~3杯分)と4人用(3~5杯分)の2種類があります。(10人用も有ります。)

また更に、各2人用と4人用にはそれぞれ「名門」というプロ用と、「名人」という一般用の2種類が用意されています。

そして最大の特徴はその形状が『円すい型』で、ネルドリップでいれたように上品な味わいになるのが特徴です。

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2人用ドリッパー、上が「名門」下が「名人」 共に円すいの直径は同じ。

それでは、この『円すいドリッパー』の秘密にせまりましょう。

まず、そもそもなぜ円すい型をしているのでしょうか。上にも書きましたが、ネルドリップからヒントを得たこの形状に秘密があります。

 なぜ円すい型なの                                
ここで少しネルドリップについてお話しすると、

ネルドリップとは、「フランネルflannel」(生地の表面が起毛して暖かい、毛織物のこと。)を使って抽出する方法です。 ただし、 現在では毛ではなく綿を使うことが一般的で『綿のフィルター』の事を指すようになりました。

なぜ、おいしく入れられるかというと、

・円すい形をしたフィルター形状により、うま味を余すところなく抽出できること。
(注いだお湯が中心から周囲に広がり、最後は底の一点から集中して落ちるため。)
・「舌触りの滑らかなコーヒー」ができること。
(ペーパーフィルターに比べ、抽出された可溶性固形分の粒子が小さいため。)

他にも、ネルの起毛により余計な油分や雑味が取り除かれることもあります。

ゆえに、『ネルで抽出した珈琲はおいしい』と言われるのはこの為です。

話を戻して、
KONOのドリッパーは、このネルフィルターの円すい形を模した形状にすることで「おいしさ」を引き出しているのです。


 縦のリブがミソ                                  
そして最大の特徴は、
円すいの内側に「縦に入ったリブ」これがミソなんです。

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左側が「名門」 右側が「名人」 青いラインに注目

このリブを設けることにより、抽出の時間を最適なものにし かつ コーヒーの粉全体から「うまみ」 を抽出できるように工夫されているのです。

リブの役目は、抽出時間の調整にあります。このリブを上から下まで通してしまうと、
落としたお湯が豆の間を通らないでリブの方へ行き、横から抜けやすくなって「うまみ成分が」十分に抽出できません。

そこで、上部にリブを無くすことでお湯の流れを中心部に集中させ、 香味成分とうまみ成分を余すことなく抽出させる役割を果たしています。

2人用では、この溝が12本入っています。
さらに、溝の長さが「名人 38mm」 「名門 45mm」と違いがあります。

4人用では、この溝が15本に増えます。
ところが、溝の長さは、「名人」 「名門」共に42mmと同じです。
(基準を同じにして計っています。実際は「名門」の方が少し長い。)

この違いは、伊達ではなく抽出速度を調整しています。

上の図の青いラインに注目して下さい。「名門」方が「名人」より長く
さらに、そのリブは若干太くなっています。

下記は2人用ドリッパー
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「名門」の方がリブが太いため、若干隙間が少ないのがわかりますか。

さて、実際に入れてみました。
条件は、コーヒーの粉30gを中挽きにし、2杯分を抽出できる時間と味の違いを見てみました。(厳密にはお湯を入れる量が一定でないため、 主観的評価になります。)

やはり、リブの長い「名門」の方が抽出速度は速く、2杯分で30秒程度の違いが出ると思います。 (当然お湯を入れる速度により変わってきます。)

ではなぜ、プロ用に作られた「名門」の方が抽出速度が早く設定されているのでしょう。
それは、プロは当然お湯の抽出量を調整できる技量があると言うこと。

一気にお湯を入れることは、簡単ですが「ゆっくり」しかも「やさしく」入れることは、難しいと言うことでしょう。

同じ抽出時間であれば、以外にも「名人」の方が「こく」と「うまみ」を抽出しやすいと感じます。

ただし、湯量を自在に操れるプロにとっては、「名門」の方がシックリくるかもしれません。


 まとめ                                       

さて、それでは あなたは「名門」と「名人」 どちらを選べばよいのでしょうか。

ここからが今回の言いたいこと!!

コーノ式ドリッパーは、 誰でもコーヒーがおいしく淹れられる様に工夫されています。

あなたが、プロでなければ「名人」 を選ぶ方が良いと思います。

あなたが、1滴1滴 点滴のようにお湯をさす事が出来るのであれば、
「名門」を選んで下さい。

確かに、コーヒーを極めたいのであれば、「名門」です。しかし、 名門の能力を出し切るにはテクニックだけではなく! ポットにも気を使って下さい。

普通のポットでゆっくりお湯を入れるのはなかなか難しいのです。
ポット選びと、ちょっとした改造が必要です。

ここで1つ、

コーヒーも料理と同じで、1人より2人分、2人より3人分と 量が増えた方がおいしく淹れやすいです。
ですから、プラス1杯を心がけると良いかもしれません。
1杯分であれば、1杯分10g+10g 2杯分であれば、2杯分20g+10gとするとよりおいしく淹れられます。



 番外編 素材の違い                                  

名門は「アクリル樹脂」、名人は「AS樹脂」と素材も違います。

アクリル樹脂は、「水槽などに使われる」硬い樹脂で、高級感があります。
その特徴は透明度の高さです。アクリル樹脂の透明性はプラスチックの女王と呼ばれるほど樹脂の中でもっとも優れており、 無機ガラスをも凌ぎます。
また、耐候性が良く太陽にあたっても黄色くなったりボロボロになったりしません。アクリル樹脂は水族館の水槽をはじめ、 自動車のテールランプ、携帯電話の表示窓などさまざまな用途に使われています。

AS樹脂は、アクリル樹脂よりも柔軟性があり、一般に広く使われています。色目はアクリルと比べると青または黄色っぽく、 やや高級感にかけ、耐久性もやや劣ります。
熱に弱いですが加工しやすいので、日用品や家具類として汎用されています。

いづれにしても、コーヒー抽出によりクラック(ヒビ)が入りやすく、毎日使うと1・2年で急激にクラック(ヒビ)が入りはじめます。 ただ、クラックが入ったからと言って使えなくなるわけではなく、見た目の問題はありますが使用上に差し支えることはないでしょう。

次回以降で、抽出における重要な「ポット選びとプロ用改造」と「究極の一杯」の淹れ方をお教えしたいと思います。^^