収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す工程をコーヒーの精製と呼びます。
コーヒーの精製には主に乾燥式(非水洗式・ナチュラル)と水洗式(ウォッシュト・ウエット法)の二種類があります。単純作業のため、コーヒーの精製は生産地で行われます。精製をすませたコーヒー豆は生豆と呼ばれ、カビなどの発生を防ぐために水分含量が10-12%になるよう乾燥して保管され、消費地に輸出されます。
●乾燥式
収穫した果実を乾燥場に平らに広げ天日干しを行います。乾燥に要する時間は果実の完熟度合いで異なり、完熟した黒い実では1日から3日、未熟な緑色の実では2週間ほどかかります。乾燥を均一化するために、毎日熊手のような専用の道具を使って上下を混ぜ返し、均一に乾燥させます。乾燥後、脱殻機に入れて外皮と果肉、内果皮などを取り除きます。乾燥式で精製されたコーヒー豆の特徴は、酸味が穏やかで、豆の自然な持ち味が生かされます。
●水洗式
乾式に比べてコーヒー豆の見た目が整いやすく商品価値が高くなる利点があります。収穫した果実はまず約1日水につけられ、そこで浮いてきた未熟果実が除去されます。外皮と果肉を大まかに機械的に取り除いた後、発酵槽と呼ばれる水槽に半日から一昼夜つけられ、この過程で果肉と発酵槽に生息する水中微生物の持つペクチン分解酵素の働きにより種子を取り囲むペクチン層が分解されます。水洗いして数日間かけて天日で乾燥させた後、脱殻機で内果皮を取り除いてコーヒー豆とします。内果皮を取り除く前のものをパーチメントコーヒーと呼び、この状態で輸出される場合もあります。コーヒーの風味としては、水洗式の豆は酸味が強い傾向があります。
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