コーヒーコラム コーヒーを「触る」 KONO式  コーノ

コーヒーコラム コーヒーを「触る」
 
 
KONO式(コーノ)
   
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◆◇ 7.コーヒーを「触る」 ◇◆

 

コーヒーに触れるといえば、コーヒー豆の感触がまず最初に思い浮かびます。そして、コーヒーをいれる行為も、コーヒーの感触といえないでしょうか。コーヒー豆をミルに入れてゴリゴリと挽いたり、粉になったコーヒーを計量スプーンですくったりする楽しみ。さまざまな器具によってコーヒーがたてられますが、コーヒー愛好家にとって、コーヒーをたてる道具は、おいしいコーヒーを飲むための重要な要素でもあります。ここではコーヒー豆を挽くグラインドについてと。さまざまな器具を用いたコーヒーの抽出法をご紹介します。

 
 

◆◇ グラインドは、最高の一杯へのプロローグ ◇◆

 

 たとえば、楽しい旅はその準備の段階からはじまっているように、コーヒーも飲む前からそのプロローグがはじまっています。コーヒー豆をミルに入れ、ゴリゴリいう音や豆の砕かれる感触を確かめるグラインド。コーヒーへの思いがひときわ高まる瞬間です。

 


●コーヒーはこまめに買う
  ローストした豆は、その瞬間から香りの成分を逃しはじめます。粉に挽くとなおさらで、表面積が増える分、空気にあたって風味をどんどん落としてしまいます。これをステーリング(劣化)といいますが、コーヒーの風味は煎り豆で二週間、挽いた状態ではたったの一週間の命となります。それ以上たつと、ゆたかな香りは飛んでしまうし、お湯を注いでも粉が膨張しないため、おいしいコーヒーにはならないのです。
  できることなら、豆は飲む直前に人数分だけ挽くというのが、おいしいコーヒーをいれるための秘訣です。煎り豆を買うのならせめて二週間分、店頭でコーヒー豆を挽いてもらう場合には多くても一週間分にしましょう。コーヒーはこまめに買うのがおいしく飲むコツというわけです。

●挽いた粒の大きさを揃える
  ミルで豆を挽くときに大切なことは、粒の大きさにムラがないようにすることです。粒の大きさがそろっていないと、抽出のときにお湯が均等にしみわたっていかないからです。ただ、実際にはどんなミルを使っても、均一に挽くことは難しく、多少の挽きムラは仕方のないことです。

●コーヒー器具にあわせて挽く
  グラインドはコーヒーを抽出する器具にあわせて行います。挽き方の粒の大きさは、おおまかに粗挽き、中挽き、細挽きの三段階があります。一般に、粗挽きはパーコレーター式やボイル式、中挽きはドリップ式、細挽きはサイフォン式やペーパーフィルター式に適しています。

 
 

◆◇ くつろぎが深まる、さまざまな味のこだわり方 ◇◆

 

 コーヒー豆の準備が整ったら、いよいよコーヒーの粉にお湯を注ぐ最後の過程です。長い年月の間に、おいしいコーヒーをいれる道具と技術がいくつか生まれました。
ここでもコーヒーは、飲む人の好みにあわせて選ぶ幅をもっています。

●ネル・ドリップ式
  一八世紀頃、フランスで考え出された、ネル・ドリップ式は、ネルのこし袋に粉を入れ、上からお湯を注いでコーヒー液を抽出する方法で、こくのあるおいしいコーヒーをたてられます。

[準備と器具]
・ネルのこし袋
  ネル・フィルターとも呼ばれています。形はおだやかな放射線を描くものがよく、粉をいれたときに半分以上の余裕がある大きさが必要です。布地はバイヤス裁ちになっていないものが目詰まりを起こしません。また、起毛がフィルターの内側にあると目詰まりを起こしやすいので、フィルターの外側にあるものを選びましょう。ネルとは、手触りが柔らかく起毛している織物"フランネル"のことです。
・ポット
  コーヒーをたてるには、口先が細く、長いほうが使いやすいものです。コーヒー用のポットもあります。
・コーヒーサーバー

[抽出の手順]
1.よく水で洗ってから、ネルの部分をにぎって柄をまわしてしぼります。ネルを両手ではさみ、押さえつけるようにして水をしぼってもかまいません。どちらにしろ、布が軽く湿っている程度にします。

2.起毛した布目を内側にして、ポットにしっかりセット。ネル袋のなかにメジャースプーンで定量分に量った中挽きのコーヒー粉を入れます。(一人分一〇〜一三グラム)ネルを軽くふって表面を平らにし、中央に浅くくぼみをつくります。このくぼみはお湯をここにためて、より全体にしみこみやすくするためです。

3.沸騰したお湯を弱火で保温しながら、ポットの先をできるだけくぼみの中心に近づけて、静かに、できるだけ細く、くぼみの中心から円を描きながら、お湯をうずまき状に注いでいきます。

4.粉が細かい泡をたてて、ぷわっとふくれてきます。三、四回に分けてお湯を注ぎますが、三、四回目のときにはもりあがった粉が中央からへこみはじめたところで注湯するようにします。

5.抽出を終えた後のネル袋は、洗剤を使わずによく水洗いします。そして、袋の全体を水に浸して保管します。これは乾燥すると布に付着しているコーヒーの脂肪分が酸化して悪臭を放ってくるのを防ぐためです。

●ペーパードリップ式
  ネル・ドリップ式よりも手軽にできる抽出法です。初めての方にもおすすめ。ペーパーフィルターは使い捨てですから、簡単かつ清潔であることもペーパードリップ式のメリットです。

[準備と器具]
・ドリッパー
  一つ穴式と三つ穴式とKONO式とがあります。抽出する速度が違ってきますので、細挽きには一つ穴式、中挽きには三つ穴式・KONO式の豆がよいでしょう。
・ペーパーフィルター
  ペーパーフィルターには、台形と円錐形の2種類があります。円錐形のフィルターはKONO式に、台形のフィルターは一つ穴式・2つ穴式どちらにも使えます。ペーパーフィルターはそのままドリッパーに入れるのではなく、接着部分を折って使います。台形のフィルターは、まず底を折り、側面の接着部分を底とは反対側へ下ります。そして、ドリッパーに押さえぎみに入れます。円錐形のフィルターは、接着部分を折りドリッパーに入れます。
・コーヒーサーバー
  一回に抽出できるのは五、六人分くらいまでが目安です。人数分の目盛りがついているので便利です。サーバーはあらかじめ温めておきます。
・ポット
  コーヒー用の口先が細く、長いポットがあれば最適です。

[抽出の手順]
1.折ったペーパーフィルターをドリッパーにぴったりとセットし、温めたコーヒーサーバーの上にのせます。次に、細挽きか中挽きのコーヒーをメジャースプーンで定量分量って入れます。(一人分一〇〜一三グラム)

2.沸騰したお湯を少し落ち着かせてから、粉の中央にお湯を細くのせるように注ぎ入れ、二〇秒ほど蒸らします。

3.蒸らしで粉がふくれたら、泡が消えないうちに、今度は中央からうずまき状にお湯を注ぎます。外側までいったらまた内側へと戻ってきます。一回または数回に分けて注ぎます。

4.サーバーの人数分の目盛りまでコーヒーが落ちればできあがりです。

●インスタントコーヒー
  沸騰したお湯さえあれば、いつでもどこでも、そしてだれにでも手軽にいれられるのがインスタントコーヒーです。
  器具は何も必要ありません。

[抽出の手順]
1.カップはあらかじめ温めておきます。

2.一杯分は、インスタントコーヒーをティースプーンに山盛り一杯(二グラム〜三グラム)が標準量です。お好みで量を加減します。

3.定量のコーヒーをカップに入れたら、沸騰したお湯を注ぎ、砂糖とミルクを入れます。それぞれの量はお好みで。

4.大人数の場合には、個々に入れるよりも、ポットなどに人数分のコーヒーをつくってから、それぞれのカップに注ぐほうがおいしくいただけます。

●サイフォン式
  スコットランドの研究室で誕生した空気圧を利用した抽出法です。透き通ったサイフォンの中でポコポコという音がたち、香り高いコーヒーができあがるプロセスを見る楽しみもあります。

[準備と器具]
・サイフォン
  通常サイフォンは、ロート・フラスコ・スタンド・フィルター・メジャースプーン・ランプがセットになっています。ランプはアルコールランプです。
  コーヒーを抽出する前にはゴムのパッキング、フィルターとスプリングの点検をしましょう。パッキングがゆるんでいるとフラスコ内が真空になりません。

・竹べら、またはスプーン

[抽出の手順]
1.フラスコに人数分の水かお湯を入れ、ポコポコいうまで沸騰させます。フラスコは必ず外側の水滴をよく拭き取ってから火にかけます。

2.上部のロートにネルのフィルターをセットし、細挽きあるいは中挽きのコーヒー粉を量っていれます(一〇〜一三グラム)。

3.フラスコからお湯が上昇し、上部のロートに昇りきったら、竹べらかスプーンで軽くかきまぜます。一分〜一分半ほど沸騰させつづけてから火を消します。

4.三〇秒くらいたつと、フィルターでこされたコーヒーがフラスコのなかに下りてきて、できあがりです。

●直火式エスプレッソ
  イタリアで広く飲まれている濃いコーヒーです。イタリアン・ローストの微粉に挽いた豆を、沸騰の蒸気圧を利用するエスプレッソ器にかけて素早く抽出します。コーヒーのエッセンスのように濃いコーヒーなので、小さなカップで少量を味わいながら飲みましょう。

[準備と器具]
・直火式エスプレッソ器

[抽出の手順]
1.下のポットに人数分のお湯を入れます。中央部のフィルター(バスケット)に、イタリアンローストのごく細挽きのコーヒーをメジャースプーンで定量分、量っていれます(一人分八グラム程度)。

2.上のポットにしっかりと取りつけて、火にかけて沸騰させます。

3.蒸気の圧力で熱湯が上がり、コーヒーの入ったフィルターを素早く通過すると、    濃いコーヒーが上のポットに噴出されてできあがりです。

 
 

◆◇ こだわりのコーヒー器具カタログ ◇◆

 

 ネル・ドリップ式、ペーパーフィルター式、サイフォン式・・・。コーヒーの抽出器具はまだまだたくさんあります。これらの器具は、長い歴史と文化を経てきたコーヒーの自己表現の一つともいえます。おしゃれなコーヒー器具を手元に置いて、自分のコーヒーの味を創り出すのもいいかもしれませんね。

●サイフォン
  コーヒー器具のなかでも、とくにおしゃれなフォルムのサイフォン。スマートなその  姿はインテリアとしても絵になる存在。アルコールランプ式のほかにも、ガスコン  ロに直接かけられる直火式もあります。

●ドリップ式
  本格的なネル・ドリップ式と手軽で失敗の少ないペーパードリップ式。コーヒー通    なら、どちらかは揃えておきたいコーヒーメーカーです。

●エスプレッソ
  蒸気圧を利用した熱湯噴射で、急速にコーヒーを抽出します。イタリアンデザイン  のエスプレッソ器はおしゃれ度も満点。人気に応えて、最近では家庭用のエスプ  レッソマシンも登場しています。

●パーコレータ
  煮沸循環によってコーヒーを抽出する器具。アメリカでよく使われていましたが、  コーヒーの香りを飛ばしてしまうのが欠点。でも、アウトドアのときには、やっぱり  これが一番です。

●メリオール
  フランスで誕生した圧縮式のコーヒーメーカー。お湯とコーヒー粉を入れて、フィル  ター付きのシャフトを押すだけでできあがり。シャフトの押し加減で濃さが調節で   きます。

●電動式コーヒーメーカー
  だれがいれても同じ味が抽出できる全自動式ペーパードリップタイプ。挽きたて    のコーヒーが飲める電動ミル付きもあります。


 
 

◆◇ 特別な日の大切なひとときに、こんなカップでコーヒーが飲めたら ◇◆

 

白い磁器に色絵つきの焼き物は、王侯貴族の渇望する宝でした。由緒正しい王侯貴族たちが愛用していたコーヒーカップは、きらびやかなものばかりでした。おだやかな微笑みと談話の席で注目されたかもしれない金襴手(きんらんで)や染錦風(そめにしきふう)のカップたち。

たとえば、マイセン、セーブル、ウェッジウッドなどの一流品。そんなコーヒーカップが一つでも手元にあれば、コーヒータイムはさぞかしエレガントなものになりそうです。ふだん着のコーヒーカップとは別に、特別な日の大切なひとときのための素敵なコーヒーカップ。ぜひ、手にいれたいものですね。

 
 

◆◇ 毎日の定番カップはやっぱりマグカップ ◇◆

 

 目覚めて最初に飲むコーヒーのおいしさ。起き抜けのまどろみ気分から目覚めさせてくれるコーヒーの香りを運んでくれるのは、ゆったり たっぷりのマグカップが一番。

  厚手のマグカップはコーヒーのおいしい六五度から七〇度くらいの適温を保つのにピッタリなのです。そのうえ、カジュアルで楽しいデザインも豊富。自分のお気に入りのカップで自分なりのコーヒータイムが楽しめるわけです。

  また、オフィスでのコーヒーブレイクにもマグカップが大活躍。わずかな休憩時間で飲むコーヒーのときにも、デスクに置いてチビチビやるときにも、マグカップならきっとおいしく飲めるはずです。

 
 

◆◇ アウトドアで飲むコーヒーは、西部劇で見たあのホーロー製 ◇◆

 

 キャンプ地で飲むコーヒー。くみたての渓流の水を炭火で沸かして、大自然の静かな景色を眺めながらの一杯。こんなときにはアウトドアに最適のホーロー製のマグカップで飲むとさらにおいしく飲めるもの。カラーバリエーションも多彩で、とってもおしゃれです。

  ところで、人間の味覚は色彩にも強く左右されることをご存知ですか?黄色いカップは「薄い味」、緑色は「すっぱい感じ」、赤になると「こくがあっておいしい」と感じやすくなるのだそうです。こんな助けを借りて、好みの味を強調するカップをアウトドアのお供にしてはいかがでしょうか。

 
 

◆◇ コーヒー・メニューにあわせて、カップもいろいろ着替えたい ◇◆

 

 伊万里や有田の和風カップ。レノックスのガラス製のカップと金メッキしたカップ受けとソーサー。素敵なカップはどれもこれも欲しくなりそうですが、コーヒーメニューにあわせて何種類かを揃えておけば、そのときどきの気分にあったコーヒーが楽しめるというもの。
  エスプレッソなら、小さくて渋めのデミタスカップ。カフェ・オ・レ・ボールなら、どーんと大きく白いカフェ・オ・レ・ボール。イタリア風のカプチーノなら、花柄のエレガントなカップにシナモンスティックを添える。いつもと違うコーヒーメニューのときにこそ、それらしいカップに注いだ方がグンと気分も盛り上がります。これこそ、本物のコーヒー通の極意かもしれませんね。

 

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コーノ式はなぜおいしいコーヒーが入れられるのか?

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